グローバル製薬企業のAIへの取り組み

2022年11月にOpenAI社が大規模言語モデルのChatGPTをリリースして以来、AIのニュースが世間を賑わせています。AIの進化を新たな産業革命とし、蒸気機関や電気の出現と同等の社会へ大きなインパクトを与えるものと捉えている人もいます。
過去の産業革命と同じように、すでにAIは金融・医療・製造・物流・農業など社会のすべての産業で人々の仕事の行い方を変えつつあるようです。その中でも、大量のデータをもとに治療を行ったり新製品の開発を行う医療や医薬品開発分野はAIの活用で大きな成果が見込まれています。
今回は、この製薬産業でのAIへの取り組みを象徴するものとして、米国ファイザー社の記事をご紹介したいと思います。以下の記事です。
Building an AI-Fluent Organization: How Pfizer is helping colleagues understand, embrace, and apply AI
https://www.pfizer.com/news/articles/building_an_ai_fluent_organization_how_pfizer_is_helping_colleagues_understand_embrace_and_apply_ai?utm_source=chatgpt.com
このブログ記事・動画でファイザー社CEOのアルバート・ブーラ氏は会社全体を「AIに精通した組織(AI-Fluent Organization)」に転換(Transform)するべく、全社的な取り組みを行っていることを述べています。そしてその一環として、社員向けのAI研修制度を整備し、ご自身もこのAI基礎研修を受講されたそうです。このAI研修プログラムはPfizer AI Academyと呼ばれ、全レベル・部署の従業員がAIを学習ができるようになっているそうです。
この記事・動画の中で、ブーラ氏はAIによって今後医療・医薬品産業には大きな変化が起きることを述べています。病院、医師の働き方、規制当局の製品への考え方など医療システム全体が変わること、医薬品開発においても創薬ターゲット探索、化合物合成、臨床試験の進め方、製造、マーケティングなどが大きく変革されていくことを予測しています。そしてAIによる革新と医学・生物学上の進歩が組み合わさることで、5年後には患者さんへの治療水準が現在と大きく変わっていることを見込んでいます。
この大きな変化を製薬産業にとって急激だがポジティブなニュースと捉えているそうです。そのため企業全体の働き方を変換するべく、ブーラ氏は会社全体にAIを前提とした仕事の進め方を浸透させることを目標としています。
一方で、AIを活用して組織や仕事の進め方を変えていくことがそう簡単ではなく、なかなか組織でAIの活用が進まないことも事実です。ブーラ氏はこの問題を解決するために従業員がよりAIを学ぶことに今後投資を行うとしています。ここで、業務におけるAI活用が進まない理由は以下の二つであるとブーラ氏は述べています。
① これまでの仕事を惰性で続けること
② AIによって仕事が失われるかもしれないという不安・恐れがあること
特にこの②のAIへの恐れはAIについての知識がなく知らないことが多いからであり、AIを学び、理解することが大切であると述べています。そこでAIに関する教育を社員に行い、AIリテラシー(AI literacy)を向上させることを推進しています。
AIは単なる最新アプリやソフトウェアのアップデートではなく、従業員・組織が学び成長するための全く新しいスキルセットであることがこの記事では主張されています。
今回の記事と動画は英語ですが、機械翻訳やYouTubeの自動翻訳を使用して日本語で見ることも可能ですので、ご興味のある方はぜひ閲覧・視聴してみてください。世界の医薬品産業をリードするメガファーマのCEOの考え方が直接述べられているため大変勉強になります。
弊社もメディカルライティング・医薬翻訳分野で生成AIの活用方法についてセミナーを行っております。その当事者の目から見ても製薬企業各社のAIを使用した業務・組織のトランスフォーメーションへの意気込みは驚くものがあります。


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